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Posted by あしたさぬき.JP at

2009年08月06日

里海映画レビュー~「夕凪の街 桜の国」(佐々部清監督)

【自分も確かにこの街を見ていた】

2005年夏頃にこの映画の原作を本屋で見つけて読むごとに中に引き込まれて、未だに「中毒」症状のままです。
映画化進行中に、多くのファンから「本当に原作の雰囲気を壊さずちゃんと映画化できるんだろうか?」といった声が原作者のこうの史代のファンページ掲示板などで言われ、自分も少々不安になっていました。
2006年に監督やキャストが発表され、夏から撮影が広島と関東で進められ、2007年初夏にマスコミ向けに試写会が行われ、映画雑誌でロケ取材などの断片的な情報が入り始め、セットや広島ロケのスチールも何枚か出て、マスコミにも予告編や監督・キャストのインタビューが出たけど、期待と一抹の不安を持ったまま公開を待っていました。大手の配給の路線に乗れなかったとかで自分の住む香川県で上映もいまだできてませんが、実際に初めて見れたのは7月16日の基町のポップラの岸辺で行われた上映会だったです。
この日、佐々部監督も仮設スクリーンの前に出て「この映画を封切り前に一緒に映画作りを手伝ってくれた広島の皆様の前で上映できる事を誇りに思っています」と挨拶されました。
エキストラやいろんなお手伝いには被爆者でもあるお婆さんも出演して、広島の人たちにとっても思い出深い映画となっています。試写会に集まった人も「ああ、こんな街に住んどったんよ。懐かしいのう。」「こんな子、居ったねえ。」と聞えてくる広島言葉が耳にここちよい試写会でした。
http://4travel.jp/traveler/teshimadas/album/10164677/

「夕凪の街」
冒頭部で麻生皆実さんが歩く町は、かつて自分が住んだ広島の下町の段原の商店街(70年代末期)を思わせる雰囲気で、もう、これを見るだけで「わし、この街に確かに住んどった!」と思わせるものがあり、原作と比してどれだけ忠実度があるかとか、どうでもよくなって自然に映画の中に入って行けました。原爆スラムの造形も麻生皆実さんも藤村フジミさんも吉沢打越さんも秀逸でした。

「桜の国」
旭さん役がマチャアキさんである事を知った時は「???」でしたが、飄々としてとぼけた感じの演技が、田中七波さんや中越東子さんや伊崎旭さんや粟田京ちゃん・小池京ちゃんらと共にこの映画を巧くエンドに着陸させる誘導役になっとったと思います。あと、「髪留め」もある面主役級の働きをしていて、原作とは違った世界(自分には全てが懐かしい)へのゲートとなっていました。
自分が大好きな基町の岸辺に立つニセアカシアの木も自然界では忌み嫌われる外来植物であっても、植物の「主役級」の扱いで、これも嬉しかったです。
http://4travel.jp/traveler/teshimadas/pict/11155630/src.html

「漫画アクション」(原作掲載誌)の田中麗奈さんと作者のこうの史代さんとのインタビューで、こうのさんは「ああ、この話、知ってる。」と言われましたが、自分も「わし、確かにこの街見とった・・・」と、思わせてくれ、良い方に期待を裏切らせてくれた映画でした。
広島に住んだ日々、特に初めて広島の街を自転車で探検した30年前の世界へのゲートをこの映画で見つける事ができ、とても嬉しいです。

★旧陸軍被服廠跡(旧広大薫風寮跡)

★広電の路面電車

★皆実町中通商店街
  

Posted by 馬占山(Ma Zhanshan) at 11:16Comments(0)映画レビュー